バイト先のピザ屋で配達の不思議な話

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20代中盤、宅配ピザ店でアルバイトをしていた頃の話だ。

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クリスマスの夜

クリスマスシーズンが近づき、間髪入れずにオーダーの電話で店は大賑わい。
そんなある日のこと、受話器を取ると、向こうから小さく震えるような声が聞こえる。

「注文、いいですか?」

なんとなく嫌な予感がしつつ、「大丈夫ですよ」と答えると事態は予想外の方向に転がった。

「マルゲリータ、ペパロニ、シーフード・・・」

「パーティーでもやっているのか」と思うくらいの大量注文に、私は「この人、一体何者だ?」と心の中で叫んだ。
この時期だとしても、あまりにも量が多くて怪しさを感じた。しかし、過去に注文した履歴が残っているので、イタズラではないと思う。

なんとなく胸騒ぎを感じながら急いでオーダーの支度をし、量が多いので後輩と一緒にバイク2台に分けて運ぶことになりました。

向かった先で

まだスマートフォンもない時代、詳細な個人宅の名前も載っている不動産屋用住宅地図のコピーを頼りに向かうと、狭い小道の奥に目的の家が見えました。
ここだなと思ったのですが、バイクでは通れなかったため、まず持てる分のピザを抱えて進みます。

夜でしたので、古めかしい民家は薄暗く、どこか不気味な雰囲気が漂っていました。チャイムを押すのもためらうほどでしたが、意を決して押すと、昔ながらの「ブーン」という音が鳴り、扉が開きます。

髪は綺麗な日本髪、すこし派手目な着物、まるで時代劇に出てきそうな、恰幅の良い女性が家の中から現れ、私は「ピザをお届けに上がりましたが・・・」と確認すると、彼女は小さく頷きました。

「バイクに積んだ残りを取ってまいります」とお伝えし、一度戻って後輩とともに残りのピザを運び、女性に手渡しました。その瞬間、耳鳴りのようなキーンとした感覚が走り、気がつくと私たちはバイクの前に立っていました。

二人は顔を見合わせて「え?」と声を上げると、先ほどの家の場所にはもう何も見当たらず、ただ草が茂っているだけ。家があった形跡すらありません。

もちろん、ピザも無くなっていて、しばらく呆然と立ち尽くした後、仕方なく店へと戻りました。

店の帰ると

店に戻ると、皆が心配そうにこちらを見ていました。
それもそのはず、出かけてからすでに二時間ほどが経過していたのです。

後輩と二人で店長に事情を説明しましたが、店長の表情は「何を言っているのか理解できない」というものでした。
二人で嘘をつく理由もなく、サボっていた様子もありません。大量のピザも消えており、盗む意味も理由もありません。

さらに、伝票に記載されていた電話番号にかけてみても、「この電話は使われておりません」とのアナウンスが流れるばかりでした。

一体、何が起きたのでしょう。

閉店後、私と後輩、そして店長の三人で車に乗り、もう一度その届け先へ向かってみました。やはりそこには、ただ草が茂っているだけで、家があった形跡は一切ありませんでした。

私たちは少し恐ろしくなり、店長の車で家まで送ってもらい、その日はそれで終わりました。

後日談

後日、気になって近所のお客さまに尋ねてみたところ、驚くべきことがわかりました。
「あそこに家?昔から何もなかったですよ」とのことでした。

つまり、私たちが訪れた家は、そもそも存在していなかったのでしょうか。
バイクで運んだ大量のピザ、電話での注文、あの女性、すべては一体、何だったのでしょうか。
結局、ことの真相は分かりませんが、今でもあの夜の不気味な感覚だけは、鮮明に残っています。

ちなみに家族にこの話をすると、ばあちゃんが「たぬきに化かされたんだよ」と、呑気に言い出しました。
また、バイト先でこの話をすると「たぬき注意」というのが一時的なブームになったこともありました。

怖いような、そうでもないような、そんな後味の話です。

※画像はイメージです。

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