淤母陀琉神(おもだるのかみ)・阿夜訶志古泥神(あやかしこねのかみ)は、天地が誕生したのちに現れた神世七代といわれる7代の神々のうち6代目にあたる男女の神である。
最後の7代目にあたるのが、イザナギ・イザナミで国土と神々を次々に生んだ神だ。
しかし、古事記でもイザナギ・イザナミのストーリーが始まりとなるため、オモタル神とカシコネ神は名だけ出るのみで他には一切出てこないのである。
この両神の役割や存在とは、また、名を残す意味とはいったい何だったのか。
神世七代の謎に満ちた兄妹神
神代七代とは、日本神話で天地開闢の時から、別天津神の次に現れた十二柱七代の神を神世七代と古事記では表わしており、またはその時代のことをいう。
また、『日本書紀』の本書には、天地開闢の最初に現れた神、十一柱七代の神を神世七代と表わしている。
日本創世の神として名を刻んでいる重要な神と思われるが、その記述は現れてはすぐに身を隠してしまうという、影の薄い神としている。
夫婦としてあるのではなく、オモタルは兄、カシコネは妹と古事記にも日本書紀にも記載がある。
兄妹が対の神としてるのは、神世七代の第三代目からオモタルの第六代まで兄妹であり、次のイザナギ・イザナミは、夫婦神であることにも不思議な感覚である。
名の漢字の意味から考察
オモタル神とカシコネ神の漢字は、古事記では淤母陀琉神・阿夜訶志古泥神、日本書紀では面足尊・綾惶根尊と表記するようだ。
オモタルの面足という漢字は、顔かたちが整っている、もしくは完全であるという意味があるという。
カシコネは惶根と書き、畏れ敬うべき根本という意味である。
一説では、オモタルが『君は綺麗だ』とカシコネの女性の美貌を賛美した言葉に対し、オモタルの賛美を受けて『恐れ多くて勿体ない』と答えている意味だと解釈してる。
これを見るとオモタル・カシコネは男女の恋愛の神として祀る神社もあったり、口説き文句の神・言葉選びの神としてあるとも考えられる。
完全たるオモタルと、畏れられるカシコネというようにも見られ、その対比からは陰陽道における光と影・表と裏など二面性を持つ神格とも解釈される。
一部研究者はオモタル=太陽神・カシコネ=地神と結びつける説もあるという。
ホツマツタエによる記述
ホツマツタエによると、オモタルとカシコネは夫婦の設定であり、高天原を統治する君主もしくは王だったのである。
ホツマにあるには、カシコネは非常に優秀な才女であり、その才でオモタルを助けて、日高見(仙台地方)~月隅(筑紫・九州)等、八方を巡られて、民を治めていたとされている。
六代のオモタル神とカシコネ妃には、『継子なく道衰ひて』と記述されており、家督を継ぐ子がいなかったことが分かる。
その原因となるのが、『無罪人斬れは子種絶つげに慎めよ』という記述なのだ。
無罪の者を何かしらの理由で殺すと、子が生まれなくなるという意味は全く持って不明であり、それは昔ながらの言い伝えや呪い的なものだったのかと予想している。
この6代目の統治は、素晴らしく秩序ある人々が豊かでよく治められていたという話もあるが、その一方で、国が豊かである反面、貧富の差も大きく豊かさを教授できない、いわゆる、富裕層を妬ましく思う貧しい者たちが生まれたのだ。
そのため、貧しくてもずる賢い者は、悪いこととは知りつつも、他人の物を盗んだり、騙して人の富を奪うことで生活をするしかなかったのだ。
隠された事実
この状況は、ある意味、現代の貧富の差がある世にも似ている。
そのため、オモタル・カシコネは、治安を維持するための方法として、悪者を取り締まり、『民利きすぐれ物奪うこれに斧もて斬り治む』との記述のように、犯罪者を斧で斬り付けるという残虐で乱暴な取締であったのだ。
これは、いわば恐怖政治を行っているとも捉えられ、無罪の者も何かしらの事件で斬ってしまったということになり、子を宿せなかったという。
この話に、怨恨からの呪術的なものを感じさせるのだが、ある一方の見解では、恐怖政治を推し進めるように支援していたカシコネを、反対勢力の介入があってなのか、オモタルが仕方なく斬らねばならない状況があったのでは、という考えもあり、そのため次に継ぐ子が無かったとも考えられるのだ。
オモタルとカシコネの治世はとても良い富国となったが厳しい法による取り締まりによって一部、苦しい思いをした民もいたということになる。
それは、ある意味、秦の始皇帝の治世とも被る。
高天原の神々の重役で会議をして、その次を担ったのが、二代目前の血を引くイザナギ・イザナミなのだった。
現れてはすぐ隠れる神にも、紐解けば何かしらの伝説はあるものだが、この神生み・国生みの前に成った神は、このような治世を治めていたのかと調べながら感激した。
featured image:玉蘭斎貞秀, Public domain, via Wikimedia Commons


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