「戦術」本来は軍事上の用語として使われるもので、印象としては物々しい言葉ですが、スポーツの上で「作戦」や「試合運びの手順」といった意味合いで用いられる事が増えました。
他にもビジネス用語などとしても「ストラテジスト」であったり「タクティカルマネジメント」等の慣用も増え、軍事以外の場においても耳にする事がある言葉になったと言えるかもしれません。
今やかなり広範な意味を持つ用語となってしまった感のある「戦術」という言葉。
今回は本来に近い「戦い方」という意味合いから、「機動戦士ガンダムGQuuuuuuX」を軸に「モビルスーツ戦」のイメージを妄想してみたいと思います!
様々な「戦術」を楽しむ一助になれば幸いです!
ビルスーツが「どう戦うのか」という観点
「戦術」という言葉を改めて考えると「戦う」「術(じゅつ、すべ)」、つまり戦う為の「方法論」であったり「順序」だと言えます。
これは「戦い」というのが様々に複雑化するもの。究極的には「相手を無力化させる」という目標に向け、より優位に運ぶ為、武器を始めとする道具を用いたり、地理的な優位を選ぶ。
自分自身の肉体をどう使うかといった、あらゆる条件や状況を収斂させていく「組み立て」られたものであると言えます。
そんな中で最初の一歩として、重要な「取っ掛かり」となるのが能動的に使っていけるもの、自分自身の身体であったり、道具や武器といったものの性質を確かめて行く事になるのです。
例えば自分の身体であれば、歩く、走る、から、道具を使い、持ち運ぶ事に始まり、何らかの道具を使って高等な技術を発揮する事が出来るかもしれません。
逆に言えば、幾ら器用でも、何も無しに空を飛んだり数キロの潜水をするというのは無理であり、無理な事を前提とした戦術は、如何に有益であろうが実現出来ない「絵に描いた餅」だという事になります。
武器や兵器にも視点を持ち込む事で、「より効果的な使い方」を検討するといった視点が成り立つものになります。
強大な火力と装甲を持つ戦車であっても、空を飛ばせる事はトンデモ改造でもしなければ無理ですし、巨大な戦艦を大陸の上で走らそうというのもロマンというよりは、ナンセンスの部類に入るアイデアというもの。
それぞれが見合った性能を遺憾なく発揮させるには、その挙動や適切な環境に配置し、運用していく、「適材適所」といった考え方が必要であり。その為にもまずは「対象とするものを良く知る」為の分析が必要、という事になっていくのです。
「モビルスーツ」という存在
そこで改めて「モビルスーツ」という存在にスポットを当てる事となります。
全高20m前後、全装備重量80~100t程、頭部、胴体に両腕両脚という人体を模した構造が基本。
武器を持ち替える事で、白兵戦から有視界下での近接~中距離戦闘や索敵、哨戒、簡単な工作までもこなせる、汎用性の高い兵器である事が劇中で表現されています。
陸戦においては、歩行や走行といった人体同様の基本的な動作は元より、搭乗者の習熟度によって跳躍や体当たりといった高度な動作も可能。対装甲武器に対して、対艦クラスの威力で無ければ数発程度は耐久出来る程の装甲性まで有しており、その巨体と相まって戦車に匹敵、凌駕するだけの火力や制圧力を有する兵器である事が伺われます。
一方、戦車と比較した時最大の特徴と言えるのは、必要となる搭乗者が「1名」である事が挙げられます。
現行兵器の中で最強の陸戦兵器とされる戦車が一般的に数名、戦車長、操縦手、砲手、場合によって通信手とおよそ3~4名ほど「必要」である事を鑑みると、その運用柔軟性は非常に高いと言えます。
更にエネルギー効率と機動性も現行兵器に比して非常に高い。
機体に搭載されている「バーニア」と称されるロケット推進装置を使用すれば、局地的に限定はされるものの戦闘ヘリや戦闘機等の航空戦力とも渡り合えるとされます。
戦闘機と比較すると、航行距離や移動速度の面で「広さ」と「速度」は及ばないものの、行動地域を限定すれば、機動性や火力、装備を換装する事によって。多用途に適応出来る高機能な「マルチロール」機として割り当てる事が出来るものと考えられます。
更に恐るべきは、その巨体。人体のおよそ10倍超という大きさと、それだけのものを構築する為の頑強さそのものが武器となる点が挙げられます。
ミノフスキー粒子と戦術
「機動戦士ガンダム」の世界でも絶対性を失っていない「核技術」が兵器運用について、共通原則上の絶対禁忌とされた事で使用はほぼ不可能。加えて「ミノフスキー粒子」の蔓延によってレーダー機器を始めとする、広域の電波通信や観測、強固な防護が施されていない精密機器の運用が不可能。
高度な精密誘導を前提とする長距離ミサイル、核兵器の運用に重要となる弾道ミサイル技術やレーダーを前提とする迎撃網がほぼ無力化されているという事情。
主力兵器である「宇宙艦艇」や「超大型航空機」に対し「迎撃網をかいくぐり肉薄し、機体そのもので主要部分を叩き壊す」という現代戦において。
「口にする事すら憚られる」ようなある種の「特攻戦術」と言えるものが「生還可能性も含めて有効な戦術」に格上げされてしまっている事から、その巨体そのものが利点となっていると考えられるのです。
視認性や被弾面積といった戦場での観点は元より、レーダー等の広域索敵網に対する秘匿性が低下する事からも、不必要な大型化は忌避されるものですが、この特殊な環境下、モビルスーツ戦においては大型である事も戦術的な優位性を得るものだと言えそうです。
以上を踏まえると、モビルスーツは補給や整備が必要である事から、母艦等強力な輸送手段か補給拠点に依存する必要性があるものである。
有効と考えられる数キロ~数十キロ四方程度の戦域に投入される事で、局地的な勝利から制圧までを担う事が出来る兵器だと考える事が出来ます。
モビルスーツを戦略
モビルスーツを既存兵器と比較すると、搭乗者の練度に大きく左右されるという条件は付くものの、戦車の火力と装甲を持ちつつ、対空戦から航空打撃を白兵戦からおおよそ中距離戦までこなす高い汎用性。
有視界外での戦闘を強力に制限するミノフスキー粒子環境において、絶対性に近い戦術的優位性を確立したと言える事が改めて見えて来ました。
一度迎撃網を突破されてしまえば、例え単機であろうと主力級の戦艦や基地すら陥落させられかねないという圧倒的な不均衡を形成されてしまう。対抗戦力となり得るのは「同じモビルスーツ」に「対モビルスーツ用必殺兵器」を搭載するというのが必然的な帰結となりました。
当初はエネルギー効率の問題から「白兵戦における対装甲武器」として、超高熱や減衰率の高いビームをトーチ状にして使ったものと考えられる「ヒートホーク」や「ビームサーベル」といった兵器が登場しています。
これによって対モビルスーツ戦は「白兵戦=必殺距離」という戦術的前提が成立したと考えられます。
但し、白兵戦とは余程の事が無い限り「一方的な展開」にはなりにくく、多くは「乱戦」、即ち「力量差すら無意味になりかねない状況」が生まれやすい。
「戦術的優位を捨てなければならない」危険性が少なからず伴うというものでもあります。
そこで、ミノフスキー粒子環境という条件によって「視認外からの一撃必殺」という形で、優位性を得ていく戦術がまず検討されたと考えられます。
その為の「威力と射程距離を併せ持った射撃武器」として完成されたのが、いわゆる「V計画」において採用された「ビームライフル」だったとされます。
モビルスーツが搭載可能な「艦載砲」級の威力と射程を持つ強力な武装であり、宇宙での対モビルスーツ戦(はおろか、実際には戦艦すら)では「一撃必殺」の威力を誇ったとされます。
この「モビルスーツ用携行ビーム兵器」が契機となり、特に宇宙での対モビルスーツ戦は「光線飛び交い、光芒の華が咲き乱れる」様相を呈していったものとなっていったと考えられます。
とは言え、敵の視認外の「中距離」とは言いながら、実際にはかなりの長距離狙撃となる射撃戦は、如何に光学的補正等が最大限に働くとは言え、電子戦が禁じられ精密誘導等が全く期待出来ない中で、しかも狙われる側もそれを強く警戒する以上、その難度は武装の普及よりも早く上昇していった事が考えられます。
モビルスーツに戦艦級のビームを撃たせるという難題故に、補給無しで携行出来る発射数は決して多くは無く、高威力の粒子ビームという「目立つ」ものが「正確に打ち出されるという利点」故。一発外せば確実に位置が暴露され、しかも弾切れが差し迫るという大きなリスクを負う事となっていったと見られます。
その結果、先行する事での優位性は多大なリスクと「引き換え」に近い紙一重のものとなり。一方で「後の先を確実に取る」という防御的ながら「生存性」と「反撃による戦果」を並行して高めると共に、戦場で常に有り得る「不測の事態」や「不意打ち」への対策ともなり得る。「防御的戦術」が検討されていった事はある種当然の帰結と言えたでしょう。
大きな戦果を勝ち取った「MAV(マヴ)」戦術
「機動戦士ガンダムGQuuuuuuX」での「一年戦争」中、モビルスーツ戦が戦場での支配性を確立した戦争末期まで、ジオン側で確立されたとされるのが「MAV(戦術)」と呼ばれる、「2人1組(ツーマンセル:Two man cell)」による戦術です。
「マブ(ダチ)」という言葉、古くは江戸期に「良人」を意味する俗語として用いられたとも言われています。
現代ではやや死語気味ながら「バディ」や「親友」の意味を意識しているとも見えるこの戦術概念は、人間を単位とする場合では、最も基本的な協調行動の単位と考えられます。それを「モビルスーツという強力な兵器」で行うとなると、その操縦技術等に応じて意味合いや有り様が違って来るものである事も考えられます。
「MAV」という略称が何を意味するのか、今の所作中等の公式情報としては言及が無いものの、その字の並びから「モビルスーツによる機動戦術」等を意味する語であると考えられます。
モビルスーツ戦発展の系譜や、戦術上の役割が「航空機」との類似性を示す事などを踏まえると、現実における「ロッテ戦術(戦法)」という戦術が想起されます。
第二次世界大戦中、ドイツ空軍が採用した事で知られる事になったこの戦術は、第一次世界大戦以降に重要性を占める「制空権」の奪い合いで避けられない「戦闘機同士の格闘戦」に対し、当時主流であった3機編隊(ケッテ、ドイツ語で「群れ」等の意味)を変更し、2機(ロッテ、ドイツ語で「徒党」等の意味)とし、航空戦の要点となる「相互支援」を機能させやすい単位にしたとされます。
この発想は同時期のアメリカにおいても「サッチ・ウィーブ」という戦術が提起されるなど、航空戦の歴史上において広く成功した戦術概念であると認識されているようです。
宇宙におけるモビルスーツの機動戦術として考案された「MAV」もまた、その基礎的な理念、主導的立場を取る「主機」と支援的な立場となる「僚機」による敵機の誘引と防御、及び反転攻勢と支援のコンビネーションを採用しているものと考えられます。
これは、発案者である「シャア・アズナブル」と「シャリア・ブル」の「MAV」においては「シャア・アズナブル」のパイロットとしての力量が常軌を逸するレベルである。特に「ニュータイプ」とも目される「敵機の察知」に凄まじく長けていたとされる事から「視認外からの攻撃でも確実に察知・回避出来る=敵の先制を受ける」側として立ち、確実な敵の暴露によって安全性を確保した上で「シャリア・ブル」の追随による支援を確実なものにする。
場合によっては「シャア」が先行する形で敵を攪乱し、「敵の攻撃を引き出した」上で「迎撃する」という強硬手段が有り得たかもしれません。
更に「2機が同時に行動する」という状況は、狙う側にしても「同時に2機を破壊する」という行動は失敗の可能性を高めてしまうものである以上、いずれかの敵を落す必要に迫られる事になりますが、そうやって「選択を強要する」事が既にして後の先側の優位性を強めるという働きもある事になります。
つまり単純に「2機1組で行動する」という事それ自体が「敵をまとめて撃破出来る」という極めて大きな優位性を持たない限り、強固な防衛策として働く事にもなると考えられ、パイロットの練度が低くとも一定程度に生存性を守る事が出来るという事になります。
その意味で「MAV」の内実とも言える要諦は「とにかく2機1組で動く事」というシンプルな理念に集約され、そのシンプルさ故に普及出来たというものかもしれません。
その足並みが乱れた時…というものもまた、物語の上では仄めかされたとも言えるものであって、人間関係という物語の根幹も含めてその象徴性を深めていくものになるのかもしれません。
なお「MAV」における最大の問題点とは「まとめて撃破されると損害が倍になる」という観点があり、これを完膚無きまでに実行して見せたと考えられるのが「アムロ・レイ」ではないかと考えられています。
機動戦士ガンダム
「機動戦士ガンダム」においてニュータイプとされる圧倒的な才覚を発揮していた彼、正に「八面六臂」と言うべき戦果を挙げており、特に「複数で襲いかかる相手を確実に全滅させる」という凄まじい戦果を幾度と無く挙げています。
しかもこの「白い悪魔」が「木馬(ホワイトベース)」という強力な移動・補給手段を併せ持って居た事で。
ジオン側としては「神出鬼没」な「白い悪魔」を相手取らざるを得ず、運悪く出会ってしまった場合はなるべく犠牲を小さくする為の戦術を敢行する必要性に駆られてしまったという事情があったと考えられます。
※画像はイメージです。


思った事を何でも!ネガティブOK!