まさか、あんな目に合うとは

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私の地元にはこんな話が伝わっています。
若干、うろ覚えですが、まずは読んでください。

目次

昔々の悲しい話

時代はたしか大正だったと思います。
ある時、田舎の小さな町にある衛戍地(今で言う基地)に師団司令部から一人の軍人が赴任してきました。

当時の軍人は女性にとって憧れの存在で、しかもイケメンだったらしく、町で一番美しいと評判の娘と恋仲になります。やがて娘は軍人の子を身ごもりますが、軍人にはすでに妻と子がいました。

娘は本気だったのですが、軍人は遊びでした。
任期が終わると、軍人は何事もなかったかのように師団司令部の帰っていきました。

ひとり残された娘は絶望し、町外れの断崖から海に身を投げ、帰らぬ人となりました。
遺体は上がることはなかったそうです。

僕の悲しい話

あの頃、僕はもう何もかもどうでもよくなっていました。
高校から付き合い、結婚の約束までしていた彼女に振られたばかりでした。
相手は幼馴染。二人とも知っている奴。
気づいた時には終わっていた。
言葉より先に、彼女の視線がもう僕のほうを向いていなかった。

余裕ぶっていた僕が悪い。
彼女の気持ちを考えないで、プロポーズを先延ばしにしていた。
だからこそ余計にショックだった。
罪悪感と怒りと悲しみが混ざって、区別がつかなくなっていった。

何をしても涙がこぼれ、喉が震えても声は出ない。
そのまま部屋にいたら壊れてしまう。

そう思った瞬間には、もう車を走らせていました。
温かな春の日差しに舞い散る桜の花、綺麗な青い海を見れば、少しは何か変わるんじゃないかと海のある方に向かって。

向かった先は、断崖絶壁に立つ展望台。
桜の名所でもあり、地元の人しか知らない隠れた場所です。
立ってみると、風景は美しいのに、僕の気持ちは沈んだまま。
暖かい風が吹くのに、心は寒かった。

海を見つめていると、ふと彼女の面影が見えた気がしました。
おかしくなったのかと思った。
でも確かに、彼女がいて、手を伸ばすように僕を呼んでいる・・・そんな気がしたのです。

無意識に手を伸ばした瞬間、眼の前が真っ暗になりました。

誰のせいだろう?

気がつくと、僕は狭い部屋に寝かされていました。
体中が痛く、何が起きたのかわかりません。
しばらくすると、知らないおじさんがやってきて、開口一番に「命を粗末にするんじゃない」と怒鳴られました。

おじさんは近所で売店をやっている人でした。
たまたま展望台を掃除に来た時、僕が断崖から飛び降りるのを目撃。運よく木に引っかかって気を失っていた僕を引き上げ、助けてくれたのだそうです。

僕はおじさんに「失恋したけれど、死ぬつもりはなく、気分転換に風景を見に来ただけ」と話すと、おじさんはしばらく考え込んだ後に口を開き、冒頭で呼んでもらった話を刻々と話だしたのです。

そして自殺の名所あること、身投げした女性の幽霊が今でも現れて、やってきた人を引きずり込む。
心霊スポットや自殺の名所としても知られるようになった。

おそらく、あの女性が僕の心の隙を見つけ、引きずり込もうとしたのだろうとおじさんは言ったのです。

※画像はイメージです。

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