アイヌが崇める自然の神々の逸話〜ウェンカムイの正体とは

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皆さんは北海道の先住民族アイヌが語り継ぐ、アイヌ神話の神々をご存知ですか?
金田一京助の薫陶を受けた知里幸恵の和訳や『ゴールデンカムイ』のヒットで興味を持った方も多そうですよね。
今回はアイヌの人々が崇める自然の神々の伝説や、彼等が畏れる悪しき神、ウェンカムイの成り立ちを考察していきます。

目次

独自の神話体系を持ったアイヌ民族の暮らし

カムイとはアイヌが信仰する自然の神々の総称。動植物のみならずあらゆる現象や道具に宿るとされ、アイヌ文化に様々な影響を与えてきました。
アイヌたちはチセ(家)と呼ばれる茅葺の掘立小屋に住んでコタン(集落)を形成し、自らの生活圏をアイヌモシリ(人間の大地)と称します。アイヌの女性はシラカバを燃やした煤を肌に塗り、アオダモの煮汁で止血を施し、伝統的な紋様の刺青を入れます。刺青の施術は初潮の始まりから成人に至るまで分けて行われ、未完成だとお嫁に行けない、死後に体を切り刻まれると脅されたりもしました。

明治になると和人と共に学校に通い、自らのルーツを研究するアイヌ女性も現れ始めます。その筆頭が語学堪能な才媛・知里幸恵。
登別出身の幸恵はアイヌの口承文芸採集に訪れた学者・金田一京助に刺激を受け、アイヌの口承叙事詩『カムイユーカラ』の翻訳に取り掛かります。

先天的に心臓を患っていた幸恵は道半ばで命を落としたものの、彼女が訳した冒頭のフレーズ「銀のしずく降る降るまわりに 金の滴降る降るまわりに」は現在も国語の教科書に引用され、自然と共存するアイヌの知恵を後世に伝えています。

カムイを含む地名には要注意?

アイヌ語で集落はコタンといい、アイヌたちはアイヌコタンに、カムイたちはカムイコタンに住んでいるとされました。部族ごとにユーカラの内容が異なるのはネイティブアメリカンの神話と似通っていますね。

アイヌ神話における天地創造は何バージョンか確認されており、古事記やギリシャ神話よろしく男女二柱の神が国産みをした説が伝わる他、カムイが自らに似せてアイヌを作ったとする、聖書の類似エピソードも語り継がれてきました。
最もポピュラーなアイヌ神話では、遥か太古何もない場所から炎が上がり、空と大地が分かたれます。
空から生まれた天神と大地から生まれた地神はのちに五色の雲に乗って世界を巡り、彼等がちぎって投げた青い雲は海や湖沼に、赤い雲は金銀財宝に、白い雲は数多の生物に変貌を遂げました。

天神・地神が生み出したカムイの筆頭として、まず名前が挙がるのが動物の創造神アエオイナカムイ。
モモンガ・タコ・タヌキ・ミソサザイ・メカジキ・アシダカグモ・カタツムリ・イトウ・コウモリ・エゾリス・キタキツネ・エゾオオカミ・クジラのカムイも誕生し、ある時は人々の営みに力を貸し、ある時は地形が変わるほど暴れ回りました。

北海道にはカムイと付く地名が多く現存します。今もって遭難者が相次ぐ大雪山は、嘗てカムイミンタラ……「神々の遊ぶ庭」と呼ばれ、地元民の畏怖を集めました。
アイヌ語由来のカムイを含むのは神の土地の証左。地形が険しく近寄りがたい場所や通行が危険な難所に付けられる傾向は否めず、それらの多くに過去の大災害の痕跡が刻まれている事実は、心の片隅に留めておきたいです。

広島土砂災害の現場を蛇落地悪谷(じゃらくじあしだに)と呼んだ先人の知恵は、北海道の地名にも残っているのです。

桃太郎から裸族まで!面白いカムイたち

上記の神々に引けを取らない強烈な存在感を示すのが、老婆の股(オム)から産まれたオムタロ・シタロ……直訳すると股太郎。大人になったオムタロは舟で島に渡り、首尾よく鬼を討ち果たし、金銀財宝を持ち帰りました。
我々のよく知る『桃太郎』に似ているのは偶然にあらず、民俗学者の柳田國男曰く、本州から伝来した可能性が高いそうです。
イロモノ、もとい変わり種は他にもたくさんいます。

ルコロカムイは雪隠を司る神で急病の時に拝むとご利益があります。パウチカムイはアイヌ神話における代表的淫魔。常に裸で踊り狂って過ごし、近くを通りがかった人間をその都度引き入れ、激しい劣情を催させる集団です。浮気はパウチカムイのせいで起きるというのがアイヌの共通認識でした。

洞爺湖の主ホヤウカムイは翼が生えた蛇の姿で現れ、甚だしい悪臭と冷気を放ちます。ホヤウカムイに憑依された巫女は体の内から酷く凍え、「寒くてたまらない、すぐ火を焚いて」と懇願しました。その一方コタンを荒らす敵を撃退し、蔓延する疫病から村人たちを守った、善と悪の二面性を持っているのが奥深いです。

パヨカカムイは疫病の神。 疱瘡や流行病を司り、姿を見せず弓を引きます。パヨカカムイが矢を射る音を聞いた者は疱瘡にかかるとされ、人々は恐れ慄きました。

コロポックルは蕗の葉の下に住む小人。アイヌとは当初友好的な関係だったものの、アイヌ側の無礼が原因で決裂し、人を避けて暮らすようになったと言われています。

オササンケカムイは札内川上流の山に住み、冬以外の季節は裸で通し、自分の娘と番わせる目的で若者を拉致する蛮族。彼等の隠れ里に足を踏み入れたら最後、裸で暮らさなければならぬ絶対の掟が課されました。外に出るのは死ぬまで許されません。
アイヌ語で「後ずさりするもの」を意味するホロカリイェプはザリガニの化身の女神で、普段は川にたたずみ、嫉妬深い人間がやってくるとハサミで切り刻みました。

トイクンライトゥムンチは呪いの儀式を司る悪神。ヨモギで編んだ人形を枯れ木の下に埋めてこの神に祈りを捧げると、対象者を呪い殺すことができました。
その際唱える呪文は「おお悪神よ 枯れ木とともに地中に埋めしこの人形が表す人物をなにとぞ病に罹らせ この枯れ木とともに朽ちるように仕向け その命を絶っていただきたい おおトイクンライトゥムンチを名乗る悪神よ よく聞かれよ ただちにこの人物の魂を体から抜き取ってそなたたち悪神の仲間に加えられよ」……なかなか恐ろしいですね。

一口にカムイといっても善良な存在だけではありません。カムイの中には悪神、ウェンカムイも含まれました。
ウェンカムイの正体は山の神キムンカムイのなれのはて、人肉の味を覚えたヒグマ。人を喰らったキムンカムイは身も心も穢れたウェンカムイに堕ちる為、アイヌは調理を避けてきました。

アイヌの伝説的英雄アイヌラックルの生涯

アイヌラックル、別名オキクルミはアイヌの祖として崇められる英雄神。その名はアイヌ語で「人間臭い神」を意味します。アイヌラックルの父は天に暮らす雷神カンナカムイでした。ある時地上を見下ろした彼は、美しい女神チキサニ姫に一目惚れし、凄まじい雷鳴を伴って彼女に会いに行きます。カンナカムイ降臨の衝撃でチキサニ姫の体は燃え上がり、数度の爆発を経て、火柱の中から赤ん坊が産声を上げました。この子こそ地上で産まれた最初の神、アイヌラックルでした。

人間の子供に混じって育ったアイヌラックルは、十六の誕生日に乳母の女神に呼ばれ、魔物退治の使命を託されます。以降のアイヌラックルは友たる人々を守るため大鹿を倒し、許婚の白鳥姫を暗黒の国に拉致した悪しき魔女、ウエソヨマと対決します。ウエソヨマに視力を奪われたアイヌラックルは苦戦を強いられるものの、最後には見事打ち勝って牢獄に囚われた白鳥姫を助け出し、めでたく結ばれました。

それから長い歳月が流れ、晩年のアイヌラックルは堕落した人間を見限って姿を消します。されど完全に絆を断ち切ってはおらず、同胞が本当に困った時は、雷鳴に姿を変えて戻って来ると告げました。人気ゲーム『大神』にはオイナ族の戦士として同名キャラクターが登場しています。

もっと知りたい、アイヌの多彩な神々

以上、アイヌ神話で語られるカムイたちを紹介しました。
ゲームや漫画で耳にしたことある名前も多いのではないでしょうか?ここでは紹介しきれなかった神様も多くいるので、興味がある人はぜひご自身で調べてください。

※画像はイメージです。

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