昨今では、髪型や服装の自由が認められる職種がかなり増えてきています。
しかし、社会全体がそのような風潮になった今でも、制服や髪型の規律が求められる職種は少なくありません。
そのひとつに、火葬場職員を挙げることができるでしょう。
遺族の前に立つ職員には、常に礼節と清潔感が求められます。服装や個性よりも「故人と遺族への敬意」を優先すべきものであり、派手な格好やカジュアルな装いは不適切とされるのです。
私が職員だった頃、制服と帽子の着用が基本でした。
そして特に気をつけていたのが髪の長さです。これは単なる身だしなみの問題ではなく、実は別の理由があったのです。
しかも、その理由のほうが私にとってははるかに重要でした。
これこそが本当の理由?
私が髪を短くしていた本当の理由は、髪が長いと“誰か”にいじられるからでした。
この“誰か”とは目に見えない存在で、仕事の最中に髪をいじられるために集中が妨げられます。
特に遺族がお骨を拾い上げる「お骨上げ」の際にその現象は起こりやすかったのです。
「気のせいではないか」「虫ではないか」と思う人もいるでしょう。表面を触られている感覚だけなら、そうなのかもしれなせん。しかし、髪の毛を引っ張られる感覚は説明がつきません。
葬儀の途中なので、私に直接触れる人はいませんし、いたずらでも髪を引っ張るような事をするご遺族はいる訳はないのです。
特に髪の毛が長めであると、こうしたケースが起きる確率があがり、大勢の人の前でリアクションを取ることもできず、仕方なく我慢するしかありませんでした。
そうした事から、なるべく短い髪型を維持するよう努めました。忙しくて髪を切りに行く余裕がないような時はじっと我慢です。
なぜ髪の毛にイタズラされてしまうのか?
まずひとつ言えるのは、ただでさえ火葬場は何かしらの現象が起こる場所でしたから、髪の毛を触れられたり引っ張られることは珍しい現象ではないのかもしれません。
髪の毛を引っ張ることは、亡くなった方が何かを伝えたいのだとも考えていました。
「お骨上げ」の際によく起きることから、感謝や別れの意思を示そうとしている可能性があると考えています。
不謹慎ですが、もしかすると生前に髪の事で悩んでいた方の最後のイタズラだとすると、それはそれで理解できなくもないです。
そんな可愛らしい事だけならよいのですが、垂れてきた髪のを死の苦しみ解放してくれる”蜘蛛の糸”を思い、逃れようと掴んできたのか・・・そう思うと恐ろしくなってしまいます。
髪の毛と幽霊
日本の民俗では、髪は魂や生命力の象徴として扱われてきました。
特に長い髪は女性の美徳や力の象徴であり、霊的な力と結びつけられることが多かった。そのため、髪に霊が憑くという話も民間伝承として残っています。
例えば、亡くなった人の髪に触れると取り憑かれる、夜に髪を洗うと幽霊が憑く、といった言い伝えがあり、江戸期から明治期にかけての民間信仰では髪型や髪の扱い方が不吉や霊障と結びつくことも珍しくなかったと言われています。
だとすると、”誰か”が職員の髪の毛にイタズラするのは、仕方のない事なのだと思うのです。
※画像はイメージです。


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