世に「開かずのトイレ」とか「開かずの間」とか、怪談や都市伝説の定番にあり勝ちです。
でも、その発端は・・・もしかしたら、かなり些細な出来事の積み重ねなのかもしれません。
ちょっとした事故
私の通っていた高校は、普通科の他に商業科など複数の学科があり、県下でもっとも広い敷地面積を誇る、それはそれは広くて人口密度が低い高校る学校に通っていました。
学科ごとにそれぞれ独立してた校舎で、建物同士も結構離れておりましたが、行き来は自由です。
私は普通科の生徒でしたが、商業科の校舎によく出入りしていました。
クラブ活動で利用していた以外に、商業科は生徒数自体が少なく、いつもがらんとしていたため、並ばずにトイレに行ける事がありがたかったという理由もあったのです。
そんなある日のこと、いつものようにトイレに入ったところ、ちょっとした事故が起きてしまいました。
トイレにはスライド式の内鍵が付いているのですが、内部のどこかがひん曲がっていたのか半分くらいしか動きません。
ぐりぐりと無理矢理スライドさせて、何とか鍵をかけることができたので、そのまま用を足しました。
しかし、まずいことに鍵を開けようとして、全くスライドが動きません。
押せども引けどもまったく動く気配がなく、実質、個室に閉じ込められてしまったのです。
困って途方に暮れたのは言うまでもありません。
商業科校舎にはほぼ人がいませんから、大声を出しても誰も気がついてくれないかったでしょう。
ましてや放課後だったので、余計に人がいません。
私の脳裏に明日までトイレで過ごさないとならないのか・・・そんな思いがよぎりましたが、ふと閃きました。
個室は密閉されてなく、上の部分は開放されています。つまり、ドアを乗り超えて外に出ればいいんだ、と思いつきました。ましてや放課後で人がいないので、あられのない姿を誰かに見られる心配もない。
鍵に片足をかけて、せーのでドアの上に上り、個室の外に飛び降りて脱出成功!
やったやったー!! と一人で喜びながらトイレを後にしたのです。
思わぬ事態
そんな事を忘れた頃、教室で女子生徒の雑談が耳に飛び込んできました。
「商業科校舎3階の奥にある、トイレのある個室のドアがいつ行っても閉まってるまま。」
「ノックをすると返事があるみあたいで、誰かがずっと入っているようだけど、何かあったのかな?・・・まさか死体でも?」
どうやら、普段使われないトイレなので、ドアが閉じられたまま放置されることとなり、数日経っても、数週間経っても、そのままだったので、「開かずのトイレ」として、ちょっとした騒ぎになったようです。
知らん顔をしながら、内心、やべーと冷や汗。
そのまま放置しておいてもよかったのかもしれませんが、やはりまずいかなと思い、クラスの友人に事情を説明すると「あんたはまたアホなことをして!」と怒られ、一緒に商業科校舎へ様子を見に行ったのです。
個室を見た友人は、見事なバランス感覚と運動神経でするっとトイレの上から中へと飛び込み、中からがちゃがちゃやっていたかと思うと、「開いたよ」とドアを開けてくれました。
あれだけ、うんともすんとも言わなかった内鍵のスライドが、何故この時、すんなり動いたのかは今もって謎ですが、とにかく一件落着だと思ったのですが・・・。
しばらくすると、
「開いたトイレの中に生徒が引きずり込まれて居なくなった」
「昔からあそこのトイレには、花子さんのような妖怪が住んでいた」
などと噂が誇張されてしまい、もうわたしたちにはどうする事もできなくなり、友人と苦笑いしたのでした。
粛々と
世の中に「開かずのトイレ」や、トイレにまつわる怪談があるとよく聞きますが、もしかしたら、こういう些細なことでできてしまったのかも。
先輩から後輩へと粛々と受け継がれて、いろいろなパターンが形づくられていく。
都市伝説なんて、そんなこんなで成立していくのかも、と思った一件でした。
※画像はイメージです。


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