UH-60ブラックホーク

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UH-60ブラックホークと言えば1974年の初飛行以来、1979年にアメリカ陸軍が正式採用した事を皮切りに、これまで全世界で4,000機以上が生産され、使用が継続されているアメリカを代表する回転翼機である。

アメリカ軍を代表する回転翼機となったUH-60ブラックホークは、本国であるアメリカでは2001年に公開され、東アフリカのソマリア内戦におけるモガディシュの戦闘を描いたハリウッド映画「ブラックホーク・ダウン」でもその名が用いられた。
ハリウッド映画「ブラックホーク・ダウン」は、原作者であるマーク・ボウデン氏の同名のノンフィクション小説を映像化したものだが、ソマリア内戦時に敢行されたアメリカ軍の複数の特殊部隊による強襲作戦を描いている。

この中でUH-60ブラックホークは他のMH-6 リトルバード等の回転翼機と共に16機の機体に凡そ100名程のアメリカ軍の特殊部隊員を載せて出撃、敵である武装勢力の幹部を計画通りに拘束する事を成功させる。
しかし敵である民兵が放ったRPG-7の攻撃により、参加したUH-60ブラックホーク2機が撃墜されてしまい、敵地に取り残された友軍の救出にアメリカ軍は多大な犠牲を強いられると言うのが物語のあらすじとなっている。

このハリウッド映画「ブラックホーク・ダウン」の撮影では、アメリカ軍の協力の元、実際のUH-60ブラックホークが使用された事が話題となったが、直前までその協力を得る事が確定していなかったとも伝えられている。
今回はそんなハリウッド映画「ブラックホーク・ダウン」でタイトルにも起用されたUH-60ブラックホークについて、及ばずながら紹介をして見たいと思う。

目次

UH-60ブラックホークの開発までの経緯

アメリカ軍における回転翼機の運用と言えば、ハリウッド映画では「地獄の黙示録」でBGMにワーグナーの「ワルキューレの騎行」をバックに、ドアガンの機関銃を連射しての地上攻撃が印象的だった事を思い出す。
ここで登場した回転翼機は、回転翼機・ティルト・トーター機を多数手がけているベル・エアクラフト社製のUH-1イロコイであり、同機はアメリカ陸軍で1959年に正式採用され、実に16,000機以上が生産されたベストセラーである。

ベトナム戦争においては結果的にアメリカ軍は敗北を喫し兵を引いたが、並行してUH-1イロコイの後継機である回転翼機の開発は続けられ、シコルスキー・エアクラフト社製の試作機YUH-60Aが1976年にその座を射止めた。
これが1979年にアメリカ陸軍に正式採用されてUH-60ブラックホークとなった訳だが、同機はメイン・ローター、テール・ローター共に4枚羽を採用、これに生存性を高めるべく双発のターボシャフト機関が組み込まれた。

UH-60ブラックホークはL型の場合、運行用の乗員が2名、全長が19.76メートル、全高が5.13メートルでメインローターは折り畳み式で、速度は最大で時速295km、巡航時に278km、フェリー飛行時航続距離は増槽を使用した場合は2,220kmに及ぶ。
UH-60ブラックホークは回転翼機としては中型の汎用機に位置づけられるが、アメリカ陸軍の編成単位で1個分隊11名の完全武装の兵士を収容可能で、この仕様は前級のUH-1イロコイでも同様だが機体は格段に大型化されている為、追加も可能と目されている。

アメリカ軍はベトナム戦争においてUH-1イロコイを大量に投入し、歩兵戦力の機動的な投射に多大な成果を挙げた反面、低空を低速度で飛行すると言う回転翼機の特性上、銃火器で多数が撃墜される被害も被った。

UH-60ブラックホークに求められた回転翼機としての改善点

ベトナム戦争において多数のUH-1イロコイを銃火器で撃墜される事態を経験したアメリカ軍では、新型機に①高温多湿な環境化でも駆動力を確保、②銃火器による攻撃への耐性、③自衛用火器の配置場所の改善を求めた。

そのためUH-60ブラックホークでは、①の高温多湿な環境化でも駆動力を確保と言う課題に対して、機関部を双発とする事とし、ゼネラル・エレクトリック社製のT700-GE-701Cターボシャフト・エンジンを実装する事とした。
また②の銃火器による攻撃への耐性を得る為に、機関部や操縦系統を担う箇所には防弾措置を施し、先の機関部の双発化と併せて銃火器による被弾時の損害を低減させる対策が施された。

加えて③の自衛用火器の配置場所の改善としては、乗降用のドア部分に機関銃とその射手を置いていた構造を改め、それらを収容する為の専用のスペースを機体内に配置する対策が成される事となった。
但しこの点に関しては冒頭のハリウッド映画「ブラックホーク・ダウン」でも描かれた通り、RPG-7等のような兵器の攻撃を完全に回避する事は不可能で、低空を低速度で飛行すると言う回転翼機の特性からこの脆弱性は今も変わらないと思われる。

UH-60ブラックホークの特徴

UH-60ブラックホークは前述してきたように、回転翼機としては中型で汎用的な機体として空挺強襲(エア・アサルト)用途を担うべく、アメリカ陸軍の最小の部隊単位である1個分隊11名を収容し、空中機動による迅速な展開を実現している。

機体内部にはこれらの1個分隊11名を含め最大で1,170キログラムの積載量を保持すると共に、外部においてはスリングを使用する事で4,050キログラム迄の物資の懸架が可能で、当初は105mm榴弾砲のM102、現在は新型のM119を1門運搬可能である。
またUH-60ブラックホーク自体が元来は攻撃用途を目的とした機体ではない為、アメリカ軍ではドアガンとしてM240(7.62mm口径の機関銃)2丁を後付けで装備していたが、後には同口径のM134や12.7mm口径のGAU-19などのガトリングガンも搭載された。

更にUH-60ブラックホークへの兵装を強化するパーツとしては、ESSSと呼称される胴体部に後付けする専用機材があり、これは左右に各2ケ所づつのハード・ポイントを備え、複数の兵装を懸架する事が可能となっている。
このESSSを用いた場合、AGM-114ヘルファイア対戦車ミサイルの4連装発射機や、70mmロケット弾の19連装発射機であるハイドラ70等を装備できる他、増槽の搭載も可能となる為、航続距離の延伸も図る事が出来る。
但しUH-60ブラックホークはAGM-114ヘルファイア対戦車ミサイルを誘導する能力は標準では搭載されていない為、運用には友軍でその能力を持つ他の機体や部隊の支援が必要で、単独で攻撃を行う事は想定されていない。

自衛隊が運用するUH-60ブラックホーク

UH-60ブラックホークは本国であるアメリカ以外でも、コロンビア、メキシコ、イスラエル、トルコ、台湾、韓国など世界各国で採用されており、日本においては陸海空の三自衛隊の全てで採用されている機体でもある。

この中で航空自衛隊と海上自衛隊で採用されているUH-60ブラックホークはUH-60Jと呼称されており、その用途は主として救難・救助であり、これに対応すべくETSが搭載され燃料積載量の増加で航続距離の延伸が図られている。
このUH-60Jは航空自衛隊と陸上自衛隊で採用されているが、名称は同様であるものの仕様に若干の差があり、後者の方が追加装備を施されている関係上、機体重量も凡そ100キログラム程重い機体となっている。

陸上自衛隊が採用しているUH-60ブラックホークはUH-60JAと呼称されており、UH-60Jをベースに汎用の回転翼機として運用されており、自衛用の火器としてドアガンに5.56mm口径のMINIMI軽機関銃を搭載している。
日本の自衛隊が運用しているUH-60J及びUH-60JAは、本家であるアメリカのシコルスキー・エアクラフト社製のUH-60ブラックホークを、三菱重工業社がライセンス生産した機体となっている。

2023年4月、宮古島の沖合の海域に墜落した陸上自衛隊ヘリの事故は記憶に新しいと思われるが、同事故に遭遇した機体もUH-60JAであり、10名の犠牲者を出す痛ましい結果となった事には哀悼の念を禁じ得ない。

退役が見え始めているUH-60ブラックホーク

アメリカ陸軍で1979年に正式採用され、今年2023年で45年目を迎えたUH-60ブラックホークだが、既にアメリカではベル・ヘリコプター社とロッキード・マーティン社が共同開発中のベル V-280 Valorが後継機となる事が決定している。
ベル V-280 Valorはティルトローター機だが、4名の乗務員以外に14名の完全武装した兵士を収容する事が可能で、時速563kmの速度で最大1,500kmの航続距離を誇り、どちらも今のUH-60ブラックホークの倍の能力を実現している。

アメリカ陸軍ではこのベル V-280 Valorを現時点では2030年を目途に導入を開始する予定とされており、永らく運用されてきたUH-60ブラックホークもその導入と並行して徐々に退役していく事となりそうだ。
個人的にはこのアメリカ陸軍の動きに対して、陸上自衛隊がどのような動きを見せるのかが今後の大きな注目点ではないかと考えている。

featured image:U.S. Department of Defense Current Photos, Public domain, via Wikimedia Commons

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