その日、私は定例会に参加していた。
初めてのフィールドで、廃工場を利用し照明はあるものの全体的に薄暗く、天井に残る古い配管がみえて雰囲気が良いフィールドだ。
ゲームの始まり
ゲームが始まり、私たちはバリケードづたいに慎重に進む。
裏取りを狙って外周を移動すると、奥へ行くほど深くなっていった。
やがて中央の大きな部屋へと続く扉にたどり着き、静かに開けると、バリケード越しにプレイヤーらしき影が動いた。
顔や装備は暗くてはっきり見えない、だが肩に赤いマーカーが見えたので敵だと判断し、数発撃ち込んだ。
距離は近く、当たったはずだった。しかし相手は何も撃ち返してこず、ただバリケードの陰に身を引いただけだった。
仲間とゆっくり接近しようとした瞬間、終了のホイッスルが響き、見回すが、その場には誰もいなかった。
ヒットコールはなかったのだが、ゾンビではないようだ。
その後、次のゲームが始まり、バリケードに隠れていると後方から「コツコツ」と足音が聞こえ、確実にこちらへ近づいてくる。こんな短時間で後ろに回られる事はないので、同じチームのだれかが来たのだろうと思って振り向くと、赤いマーカーが見えた。
隣りにいた友人と顔を見合わせ、反射的に銃を構え、一斉に撃ち込む。
銃声の中、敵はいなくなっていたが、ヒットコールは聞いていない。
いったいどうなっているんだと、別のバリケートに隠れていた仲間に、後ろから敵がやってきたというとそんな事はないだろうというのだ。
休憩時間に知ったこと
お昼になり、休憩所のモニターには午前中のゲームの撮影動画が流れていた。
何気なく眺めていると、さっきの赤マーカーに撃ち込んでいる私達が写っていた。
インドアだと弾が発光して射線がみえる、確かに当たっているようだが、気のせいか弾がすり抜けているように見える。そして次の瞬間、ふわっと消えたように見えた。
ゾンビじゃないのか?と運営に頼んで、今のシーンをもう一度良く見せてもらった。
もちろん暗くて顔ははっきり映らないが、冷戦期のソ連軍装備でなかなか珍しい。
しかし、そんな参加者いたか?と思って辺りを見回しても、見当たらない。
そんなとき隣にいた常連らしき人が、ぼそっと言った。
「あれ?あの装備、昔よく来てた人だな。たしか数年前に交通事故で亡くなったはずだけど・・・」
私はもうそれ以上何も聞かず、荷物を片付けて、その日のゲームを終えた。
それ以来、あのフィールドには行っていない。
※画像はイメージです。


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