宿に現れた幽霊

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伊豆、下田の端っこ、穴場のひなびた温泉宿へ旅行に行った夜のことでした。
学生の頃からの男友達数人で同じ大部屋に泊まり、夕食後に酒も入ると、こういう場面で盛り上がるのはエロ話か怪談で、このときは怖い話でした。

一人ずつ、順番に話していき、一巡し、二巡目に入ったあたりで、部屋の雰囲気が妙に重くなってきました。
その時でした、突然、部屋の電気がスッと消えたのです。

「停電か?」誰かがそう言った直後、何事もなかったようにパッと電気が点きました。
一瞬の沈黙の後、誰もが顔を見合わせたが、まあ古い宿だし、雰囲気が出てきたとそのまま話を続けました。
すると今度は、つけっぱなしだったテレビが突然消えたのです。
リモコンを押しても反応がないから、本体の電源ボタンを押した。その瞬間、耳をつんざくような大音量と共にテレビが点いたと思うと、勝手に音量が下がったのでした。

その場にいた全員、はっきりと「おかしい」と感じました。
さっきまでの軽口は消え、友人の一人が「この部屋、なんかあるんじゃないか」、冗談とも本気ともつかない声で漏れた。時間も気がつけば深夜になり、これ以上妙なことが起きる前に解散しようという話になったのです。
それぞれ布団をかぶって、眠ることにしました。

だれかのいびきが聞こえてくる中で、俺はどうにも寝付けません。
部屋の静けさが、神経を刺激するようで、さっきの出来事が頭から離れません。

ようやく、うとうとしてくると、横に「何かいる」気配を感じたのです。
ただ確実に誰かがそこにいるという感覚がして、反射的に目を開けると、そこには見知らぬ女性と幼い子供が座っているのです。
年の頃は四十代くらいの女性。服装ははっきり覚えていませんが、隣にいる幼児と共に、こちらをじっと見ています。た。瞬きもせず、感情のない目で。
声を出そうとした瞬間、体が動かないことに気づきました。
いわゆる金縛りで、指一本動かせません。

次の瞬間、女性と幼児が、同時に微笑みました。
そして、二人は立ち上がると、窓の方へ向かっていきます。
窓は閉まっていたのに、気づくとそこには何の抵抗もなく、二人は外へと消えていきました。
まるで、そこに窓が存在しないかのように。
「あっ!」そう思った瞬間、金縛りが解けました。
俺は飛び起き、寝ている友人たちを叩き起こし、今見た光景を必死に説明したのですが、誰も半信半疑でした。
ですが、夏なのに部屋の空気が異様に冷えていることに気づき、黙り込みました。
部屋にエアコンはなく、窓が閉まっているので蒸し暑いはずなのです。

結局、その夜、だれもほとんど眠れませんでした。
朝ごはんを持って宿のオバさんがやってきたので、昨夜のことを聞こうとしたのですが、皆、はっとしてやめました。
多分聞いてしまえば、何か答えが返ってくる気がしたからだと思います。

旅行自体は楽しかったです。
でも伊豆の話をするたびに、あの部屋と、窓の向こうへ消えていった親子の姿が、今でも頭に浮かびます。
あれは、間違いなく幽霊だったと思います。

カズさん

「奇妙な話を聞かせ続けて・・・」の応募作品です。
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※画像はイメージです。

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