心霊現象や超常的な出来事をなど、あり得ないと考えていた。
しかし一度だけ、説明のつかない経験をしたことがある。
これは、遠距離恋愛をしていた二十数年前の出来事だ。
彼女の見る夢
当時、彼女は介護施設に勤務していた。幼い頃からいわゆる「霊感」と呼ばれるものが強く、不可解な体験をたびたびしていたという。
私自身はそうした話を半信半疑で聞き流し、特に気にすることもなかった。
彼女は連休を利用して私のもとへ訪れていた。
夜になり一緒に寝ていると、彼女は寝苦しそうで、時折うなされ悲鳴のような声をあげる。
あまりの大きな声に私は起こされてしまい、「大丈夫」と返してくる。
できる事といえば、手を握ってあげるぐらい・・・すると安心したようで、静かに眠りについた。
しかし明け方になると、突如「頭が痛い」と叫び、苦しみ始めた。
異変に気づいて、驚いて飛び起きると、彼女は息を整えながら静かに話し始めた。
「Aおばあちゃんが亡くなった。」
別れの挨拶
「Aおばあちゃん」とは、彼女が施設で担当していた高齢の入所者で、特に親しくしていたらしく、まるで本当の孫のように可愛がってくれていたという。
彼女はさらに続けた。
「頭の血管が切れて亡くなった。最後のお別れに来てくれた。」
あまりに突然の話に、呆然としてしまった。
長旅の疲れで悪夢を見たのだろうと思い、「きっと疲れてるんだよ」と声をかけた。
しかし、真剣な表情で涙を流している。
彼女の職業柄、入所者の体調や予兆を無意識に感じ取っていた可能性は否定できない。
脳出血の兆候には微細なサインが出ることもあり、本人が自覚せずとも周囲が敏感に察知するケースは報告されている。
私はまだ朝早かったので、迷惑にならない時間に職場に電話をかけて安否を確認するのを彼女に提案した。
彼女もだいぶ落ち着いてきた様子で、提案を受け入れた。
やがて午前9時になると、彼女は職場に電話をかけた。
職場の同僚に事情を話すと・・・「はあ?」と冷ややかに反応された。Aおばあちゃんは元気で、今の他の入所者の人と会話を楽しんでいるという。
仕事に熱心なのは良いけれど、縁起でもないこと言い出して、さらには彼氏と一緒なんて・・・とかなり強い口調で嫌味を言われたらしい。
励ますつもりで「まあ、そんな事はドラマでしかないよ」と声をかけたのだが、彼女はご機嫌ななめ。
その後もずっと期限が直らないまま、お別れした。
やってきた結末は
それからしばらく音信不通が続いた。
何気ない一言が彼女を傷つけてしまったのだと、心から反省した。
こちらから連絡すると、返って傷つけてしまうと思って連絡を経って、数日経ったとき、「彼女が泣いている夢」をみました。
あまりに現実的な雰囲気で、目が冷めてしまった。
すると久しぶりに彼女から電話があったのですが、電話の相手は彼女ではなく、彼女のお姉さん。
「なんで?」と思うのと同時に胸騒ぎがした。
そして「昨日、脳出血で倒れて亡くなった」と告げられた。仲直りできないままだった。
後になって思う、彼女が見た「Aおばあちゃんの死」は単なる錯覚ではなく、本当に消えかけていたのは、彼女自身の命だったのかもしれない。
夢の中で泣いていた彼女は、私に何を伝えたかったのだろう。
仲直りできなかった後悔とともに、あのとき確かに彼女の気配を感じたことだけは、今も忘れられない。
※画像はイメージです。


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