各国の「死神」に対する認知と解釈

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知り合いから「死神とは何ぞや」という素朴な疑問を投げかけられた。
いわれてみれば自分たちが認知しているのは創作作品やフィクションの影響を受けたステレオタイプ的概念であり、実際に各国で語られる死神という存在とどのような伝承的差異があるのか。
これまた素朴な興味が湧いたので紙面を広げ筆を取る。

目次

死神の普遍的イメージ

死神とは人間や生き物の『死』を司るといわれる存在である。創作作品やタロットカードなどでは、鎌を持ち暗い色のローブや鎧を纏った白骨の姿で描かれていることが多い。

作品上に登場する死神は
「死後の魂を回収し、現世から向かうべき場所(地獄や冥府など)へ案内する」
「生きている人間に接触し寿命や死期を操作する(死期を早めたり、逆に寿命を伸ばす)」
など、登場人物の死に干渉する存在として描写されている。

『死』そのものが生と逆の不吉な事象であり、タロットカードなどでも正位置では「終焉」や「損失」などの意味合いを持つことから忌避されるイメージが強い。

宗教や伝承上の死神

名に『神』と冠するのだから各宗教の最高神と対もしくは追従するのではとも思うが、調べてみると実際に伝わる宗教や伝承上では厳密には少し扱いが異なることがわかる。

キリスト教圏の死神

キリスト教はキリストを唯一神に据える一神教であるので、キリスト以外に神は存在しない。代わりに生き物の死を司る存在として「悪魔」が描かれる。単に死者の魂を迎え神の御許に導く役割は天使が担うが、生者にとって納得の無い死をもたらし地獄へ誘う理不尽な存在は悪魔があてがわれるようだ。

その他西洋の死神

西洋に伝わる宗教の中には死神を信仰対象とするものも確かに存在する。死神信仰というと禍々しい雰囲気を感じてしまいそうになるが、全てが邪教というわけではなく「全知全能で大概何でもできる中で生き物の生死も操作できる神」を信仰しているパターンもある。

他にはギリシャ神話のような民間で語り継がれる神話や伝承・おとぎ話の中で「死の国の王」のように死を司る存在が死神とほぼ同じ立ち位置で登場する。調べる限りだとこちらのパターン…国で信仰している神とは別物(ある種創作物扱い)としている地域が多く見られる印象。

仏教、神道の死神

仏教は無神論(世界創造を含む万物の事象に神が関与しないという考え)を説いているので死神の概念は無いとされているが、文献によっては冥界の王「閻魔」や鬼(牛頭馬頭など)が死神と同じ立ち位置の存在として挙げられている。

神道では黄泉の国の主、黄泉大神の別名を持つ「イザナミ」が地上の生き物に死をもたらす死神的存在ではとされている。イザナミが黄泉比良坂で自身の姿に怯え逃げる夫イザナギに「こんなひどいことするならお前の国の人間一日千人殺すからな(超要約)」と言い放ったエピソードのインパクトは大分強い。

多神教の日本では閻魔もイザナミも知る人ぞ知る存在ではあるのだが、冥界や黄泉の国といった死者が行きつく場所を統べはしていても西洋の死神のような死期の近い人間の元へ直接出向くわけではない双名を死神に括るかは各自に委ねているようである。

日本における死神と多様化

調べていて意外だったのが、前章に挙げた閻魔やイザナミを省くと日本で「死神」という概念が人格を持って確立したのは戦後西洋の死神が伝わってからだということ。死神という言葉自体は江戸時代の落語(近松門左衛門作)に登場こそしているが、西洋のそれに通じるようなものではなく心中する男女の心理描写の一環として造られた言葉というニュアンスが近い。もう少し古い古典文学にも「しにがみ」という言葉はあるが、こちらも「取り憑いて死にたくなる気持ちを増幅させる」「悪事を働かせ死にたくなるように仕向ける」といった「憑きもの」に近い扱いが多い。

唯一神のいる…もっといえば唯一神以外の神が存在しない一神教圏と違い、八百万の神がいる日本のような多神教圏なら死を司る神もいそうだと仮説を立てていたが。思い返せば日本は八百万の神と共に「妖怪」「亡霊」「鬼」といった存在があり、それらの歴史が死神という言葉より古ければ、西洋の天使や悪魔よろしく「死者の魂をあの世へ案内する」「寿命や死期を操作する」役はそれらが担ってきたのだろう。

それでも戦後西洋死神の概念が伝わり「死を司る存在」が人格を持って確立されると、しっかりとその存在が定着し多数の創作物にも登場するようになる。普遍的な黒ローブ+白骨+鎌のようなものから、印象的なものだと死神の仕事を役所仕事に見立てた設定など、作品の数だけ多様化していく様はなるほど創作に対し柔軟な日本特有の傾向ともいえる。その点では、冒頭で触れた「創作上で描かれる死神と実際に各国で語られる死神という存在との伝承的差異」は今後も広がっていくと予想される。

普段は死を連想し話題に挙げるのを避けがちな死神という存在だが、創作のコンテンツとしてなら触れやすいかと思う。読者諸君も気が向いたら「そういえば最初に『死神』を知った作品ってなんだっけ」などと思いを馳せてみるのもいいかもしれない。

筆者が初めて「死神」を知ったのは幼少期に読んだ北斗七星と南斗六星の神話。
こちらも面白いので興味が湧けば是非。

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