みなさんはミステリーは好きですか?
私は気分によってジャンルから離れることもありますが、基本的に好きです。
そんなミステリーというジャンルは小説やドラマなどあらゆる媒体で私たちの前にあらわれますが、本当のミステリー、すなわち殺人現場を扱ったドールハウスをご存知でしょうか?
というわけで、今回は「科学捜査の母」フランシス・グレスナー・リーの愛らしくて恐ろしいドールハウスをご紹介いたします。
思わずゾッとする怖いドールハウス
2017年、「最もホワイトハウスに近い美術館」ことワシントンDCのスミソニアン・アメリカ美術館で世にも恐ろしいジオラマ18点が展示されました。
たとえば「3部屋の住居」というドールハウスは部屋の間取りを完璧に再現しており、など妙なリアリティがあります。
- 広いポーチがある庭付きの住居
- 当時のアメリカらしいキッチンとリビング
- 寝室で横たわっていた夫婦が血まみれで死んでいる
- 赤ちゃんの死体は夫婦から離れた場所にある
たとえば同じ寝室で死んでいる夫婦は奥さんはベッドに横たわったまま死んでいますが、旦那さんはベッドから落ちており、しかもベッドカバーの上にうつ伏せの状態で死んでいるんですよね。
- 納屋で首を吊っている人がいるドールハウス
- キッチンで倒れている女性がいるドールハウス
などそのシチュエーションはさまざま。
そのどれもが本物の住居を小さなサイズにしたかのように精巧で、どこか可愛らしいにもかかわらず、そこにいるドールたちは殺されている、あるいは他殺か事故か分からない状態で死んでいます。
何故、作者はこのようなドールハウスをつくったのでしょうか?
それは作者、フランシス・グレナリー・リー氏が警察官の「捜査の目」を育成しようとしたからです。

アメリカ初の女性警察署長 フランシス・グレナリー・リー
フランシス・グレナリー・リーは1878年に裕福な家庭で生まれました。
家は農業作業の機器を製造する会社で、父親は家具のコレクターで、その知識は本を出せるほどだったと言います。
成長したリー氏は男兄弟のクラスメイトに影響を受けて法医学に興味を持ち、そのまま法医学者としての道を歩みました。
その過程でリー氏はハーバード大学法医学部やハーバード警察科学協会の設立の寄付など、警察官および検視官の育成に力を注いでいきます。
この時代、警察官たちは証拠よりも勘で捜査をしていたとか。
完璧主義なリー氏はそれが許せなかったのか、1943年、ハーバード大学の法医学の学生たちのために殺人・事故・自殺の現場を描写したドールハウスをつくります。
このドールハウスには本物の事件を再現しているタイプもありますが、リー氏はドールハウスを本物に近づけるために、犯罪報告書を読んだ、警察から聞き取りをした、手縫いの布製品や手書きのラベルが貼られたビンなど内装にこだわった、死体の腐敗も正確に描写されている・・・といったように心血を注ぎました。
それは今でも受け継がれており、刑事たちが研修のためにドールハウスのなかにある手がかりから現場を分析し、被害者たちの死を特定しているそうです。
なおリー氏のドールハウス「小部屋の研究」はメリーランド検視官事務所に展示されているとも言われています。
お化け屋敷やノンフィクションと何が違うのか?
さて、ここでちょっと考察をしてみましょう。
リー氏のドールハウスを作品としてとらえた場合、いわゆるノンフィクション系になるかと思います。
また怖い建築という意味ではお化け屋敷にも通じるところがありますね。
しかしリー氏のドールハウスはお化け屋敷ともノンフィクションの作品群とも違う怖さが感じられます。
それは何故か?
思うにリー氏のドールハウスは目的が違う、もとい分析力と観察眼を鍛える道具だからでしょう。
お化け屋敷でもノンフィクション系でもそこには何かしらの物語、架空性があります。
が、リー氏のドールハウスは「現場で何が起こったのか?」という分析のみが求められているんですよね。
崩しようのない現実は時にオカルトよりも恐ろしいもの。
だからこそ本物に近いリー氏のドールハウスは怖いのだと思います。
ドールハウスの真実
「科学捜査の母」フランシス・グレスナー・リーがつくった恐ろしいドールハウスは警察官の捜査を育てるためにつくられました。そのためどのドールハウスもリアリティがあり、今でも刑事たちの捜査のノウハウを養うために使われています。
お化け屋敷やノンフィクション系の作品に通じるところがありますが、リー氏のドールハウスはあくまで分析や観察力を鍛えるためのもの。
だから現場となっているドールハウスにはフィクションはなく、恐ろしい現実が静かにたたずんでいるのです。
※アイキャッチはイメージです。


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