大学受験

当サイトは「Googleアドセンス」や「アフィリエイトプログラム」に参加しており広告表示を含んでいます。

高3年生の時、受験まであと1ヶ月でした。
毎日毎日、自習室で参考書をめくって、問題を解いていました。

夕方、席についてふと周りを見ると、みんなが先に帰ったのか、僕だけがぽつんと残っていました。
何度も同じ問題を解く。でも、昨日解けたはずの問題が、今はわからなくなってしまいました。
ページをめくる手が止まり、頭を抱え込んでしまいます。

「僕、こんなことして何になるんだ?」

誰もいない自習室で、心臓だけが異様に早く鼓動しました。
頭の中はやったはずの問題がいっぱいで、解答がごちゃごちゃに混ざる感じです。
もう自分が何を知っていて、何を忘れたのか分からなくなってきましました。

模試の答案を返された日です。
完璧だと思っていた回答にバツがついています。
「こんなはずじゃ」

記憶の中の自分と、現実の自分がズレている感覚がしました。
頭では分かっていても、手が勝手に違う答えを書いてしまうように思えました。
友達と比べて、さらに焦ってしまいます。
ああ、僕は駄目かもしれない、そう思うと眼の前が真っ暗になります。
小さな焦りが、少しずつ呼吸を荒くし、体の感覚まで狂わせるようです。
机の上の消しゴム、ペン立て、全てが妙に距離感を失って見えてきました。

受験までのこり3週間でした。
夜、勉強していると、問題集の文字が急に読みにくくなりました。
「疲れてるだけ」
そう言い聞かせても、行間が歪んで見えます。

トイレに立つと、廊下の蛍光灯がいつもより冷たく感じました。
心の底から「このままじゃダメだ」という声がずっと囁いていました。
誰も追い詰めてはいないのに、自分が自分を追い込んでいる感覚がしました。

受験前夜になりました。
家で参考書を開くと、鉛筆を持つ手が震え、頭の中で昨日の記憶と今日の記憶が混ざりました。
「あれ、これ昨日解いた問題だっけ?」

ベッドに寝転がっても、頭の中の声は止まらず、公式、漢字、英単語、歴史の年号など。
全部がぐちゃぐちゃになって押し寄せ、目を閉じると問題文が浮かび上がってきました。
寝ようとしても、頭の中で同じ問題を解き続ける悪夢に襲われました。

「もう無理かもしれない」
それでも、朝になれば試験の日はきます。
怖くて震えているのは、自分だけで、誰も助けてはくれません。

試験当日です。
会場に入ると、みんな普通に机に座り、鉛筆を動かしていました。
自分だけ、昨日までの焦りがまだ体に残っているのが分かりました。

問題用紙を見ると、頭の中の混乱は少しだけ落ち着きました。
でも、あの夜の焦燥、記憶のズレ、手の震えは消えません。
受験という現実が、僕の心をじわじわ蝕んで、一番の恐怖だと気づきました。

桜は咲いたのか・・・貴方の想像にお任せします。

あの日の僕

「奇妙な話を聞かせ続けて・・・」の応募作品です。
評価やコメントをお願いします。

※画像はイメージです。

面白かった?

平均評価: 2 / 5. 投票数: 1

投票がありませんよ、最初の評価をしてね!

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

思った事を何でも!ネガティブOK!

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

目次