私には3歳上の兄がいます。
兄はお化けの類を見たことがないので、霊感はないと言い張っていますが、私から見れば、充分不思議な感覚の持ち主だと思っています。
トイレとお風呂は屋外が当たり前
実家が古い農家なので、トイレとお風呂は屋外に設置されています。
私が幼い頃は汲み取り式の和式便器だったので、蓋を開けると暗い穴のそこに汚い物が見えて、臭いや蛆虫が這い上がってきて、とても気持ちが悪い思いをしていました。
それでも家族は不便を感じなかったようで、ようやく高校を卒業した洋式水洗トイレにリフォームされ、嬉しかった覚えがあります。ですが内部のリフォームをしただけなので、トイレに行くには外に出ないと行けないのは変わりません。雨だと傘が必要で足が濡れてしまいますし、冬は寒くて雪の日は最悪。
そんな状況ですが暮らし慣れている為、なんともないと思って暮らしていましたが、大変さを実感したのが結婚して
子どもが生まれてからでした。
自宅では1人でトイレに行けるようになっていた息子も、実家にいると「怖い」と言われてトイレの度について行かねばならず、旦那からも面倒くさいと言われる始末です。
ようやく出来上がったトイレ
両親に屋内にトイレを増設した方が便利だと何回も話ましたが、なかなか話が進みません。
そんな頃、父が前立腺を患ってトイレに苦労するようになり、ようやく重い腰を上げたようで屋内にトイレが完成しました。屋内なので雨の日に濡れず、寒くないし、息子も1人でトイレに行けて良いこと尽くめです。
ただ、このトイレ・・・換気扇がついていなかったんです。
家の構造なのか、父の病気を配慮してかは解りませんが、主屋のほとんど中央に作られたので、外に面した壁はなくて窓もつけることはできません。
換気扇をつけるとすれば屋根裏に排気ダクトを通せば良い話ですが、母親が言うには「大工さんが高齢だったから、屋根裏に上がれなかったのよ」と言う話です。
そんなことでいいのか?とも思いましたが、今までの不便さからすれば快適なので、気にせずに過ごすようになっていました。
兄の言い分
それから1年もしないうちに、父が脳梗塞で入院することになりましたが、幸い、発見が早く3週間程の入院ですみました。ところがそれだけでは済まず、父は血尿や膀胱炎、あげくに腎臓に癌が見つかり、かなり悪い状況。
入退院を繰り返すようになり、母と私は世話で疲弊していました。
突然、兄が「トイレの天井に黒いもやがある、何か溜まっている」と言い出し、しきりに「トイレに換気扇をつけて、悪いものを出さないといけない」と言い続けるようになりました。
もちろん誰がみても何もありませし、お金は出さなけれど口ばっかりの兄に、家族全員が嫌な顔をしました。
「トイレに溜まっているものが、親父に何か災いしている感じがする」と母に訴えるのですが、母は懐疑的で相手にしません。兄はその話をしだすと、その場の空気がわるくなり、険悪な雰囲気が漂います。
私はどちらかと言うとお兄ちゃんっ子なので、兄を気の毒に思いました。
夫は電気工事士なのでトイレに換気扇をつけることができ、渋る母を説得して換気扇をつけてもらう事になりました。
ビフォー・アフター
古い家なのは知っていましたが、工事を初めて屋根裏を開けた夫は驚きました。
今の建築では考えられないぐらい、様々な太さの梁が縦横無尽に屋根の中を巡っていて、まるで蜘蛛の巣のようだったそうです。
ようやく換気扇を取り付けた夫「どうりで大工さんがやりたくなかった訳だ、もう二度とやりたくない仕事」だと。
屋根裏を這っていると無数の小動物の死骸を見つけたので庭にまとめて埋めました。
その話を聞いた母が言うには、この家は100年ぐらい前に建てられて、もとは藁葺き屋根だったとか。「迷い込んで亡くなった動物が何匹いてもおかしくない」と笑っていました。
半年ほど経ち、癌を再検査するとドクターに癌が消えていると言われて驚きです。
現在も月に一度受診をして経過観察はしていますが、他の病気も回復して、信じられなぐらい元気になりました。
トイレに溜まっていた悪いものが出ていったとしか思えない出来事で、兄の株は上がります。
母は「子どもの頃から時々不思議な事をいう子どもだった」とつぶやきました。
※画像はイメージです。


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