私が看護師になって1年目、某大学病院の集中治療室に勤務していた時の話です。
そこでは新人看護師は状態の安定している患者さんから担当し、慣れてくれば少しずつ担当する患者さんの重症度が上がっていき、最終的に小児の心臓手術の術後管理をするのがルールでした。
夜勤の夜
入職して半年たった頃には、仕事にも慣れて夜勤も始まり、1年もする頃には術後の担当になったのです。
初めての患者さんは小学校5年生の少年A君。とても難しい手術で成功したものの、その後の状態が安定せず厳しい状況が続いていました。
身体の状態は把握できていたこともあって、私は先輩とペアでA君の夜勤を担当する事になったときの事です。
A君は発熱が続いて依然として厳しい状態ですが、先輩のリードでなんとか順調に仕事が進んでいきました。
休憩時間になり、ホッとしながら控室のソファに座って先輩と一緒に持ってきたお弁当を食べ、仮眠を取る事になったのですが、その日に限ってなかなか寝付けませんでした。
なにかの音がする
ようやくウトウトし始めた頃、ドアの外から何か音が聞こえてきます。
なんだろう?と何となく気になっていると、とても速い間隔でタタタタタという音が、だんだんと近づいてくるように聞こえるのです。
A君のいる病室の方から、どんどんと音が激しくなっていき、寝ていられなくなる程になったので、何が起きているのだろうか?と様子を見ようとドアを開けると・・・。
ただただ静まり返った部屋には、モニターのピッピッという音だけが響いているだけでした。
先輩はいびきをかいて寝ているようなので、音を聞いたのは私だけ?
疲れているんだろうと思って、部屋に戻って毛布を被り、ウトウトしていたときです。
タタタタタ
またもや、タタタタタという音が聞こえてきます。
それも今回は、以前よりも増して激しく。
いくらなんでも今回は先輩にも聞こえているだろうと思って、先輩の方をみてもやはり寝ている。
いったいなにが起きているんだろう?
そう思いながら、またもやA君のいる病室のドアを開いた瞬間、中からなにか飛び出してきた様に感じました。
その瞬間、けたたましくモニターが警告音をあげ、先輩が飛び起きてきて病室に飛び込むと、すっと音が止まってまた静寂が訪れたのです。
A君の容体は厳しくなり、亡くなったのでした。
重い体を脱ぎ捨てて、走り回れるのがうれしくて仕方がないといった風に、満面の笑みで走り回っているA君の姿をはっきりとみたように思えたのです。
※画像はイメージです。


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