エイプリルフールのネタが実体化した〜ミシガン・ドッグマン

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アメリカのミシガン州にひろがる山林には、「ミシガン・ドッグマン」と呼ばれる怪物が出現するという。
ミシガン・ドッグマンの身長は約2メートル、犬のような顔と下半身、人間の胴体をもち、夜になると二足歩行で森のなかを歩きまわり、山に入ってきた人間や、人里離れた一軒家に襲いかかる。

その起源は民間伝承などではなく、ちょっとした事から発生したのだ。

目次

1987年4月

1987年4月1日、ミシガン州トラバースシティのFMラジオ局 WTCM-FM。
この日、DJのスティーヴ・クックは、エイプリルフール特番用に自作した一曲を放送した。
曲のタイトルは 「The Legend」。

きっかけは単純だった。
毎年エイプリルフールにはユーモアのある”ジョーク”を放送していたのだが、既にネタ切れ状態。しかし、番組スタッフからは「良いアイディアをだせ」と迫られ、クックはふとひらめいたのだ。
オカルト好きな自分の趣味を活かし、「地元の森に存在する謎の怪物を創作してみたら面白いのではないか?」というアイデアを思いついたのである。
スタッフの意見は、「エイプリルフールよりもハロウィンだよね」と否定されたのだが、時間切れでこのネタが採用されたのだ。

クックは即興で地元の雰囲気や伝承としてありそうな雰囲気を狙って、歌詞を書き上げて曲を制作した。

The Legend

だいたいこのような歌詞だ。

1887年、ウェックスフォード郡の森で、木こりたちが見た。
犬のような顔。
人のように立ち上がる影。
闇に光る、青い目。
声を失った木こりたちは、ただ震えるしかなかった。

1937年、夜道を歩く男の前に、同じ影が現れた。
「見た」と口にしても、誰も信じてはくれなかった。
恐怖を知るのは、彼ひとり。

1957年、農夫が襲われた。
深く抉られた爪痕。
獣にしては大きすぎる、奇妙な傷。

1967年、北の森に再び現れる。
遠くから響く低い声。
獣の遠吠えではない。
人間の呻きにも似た、異様な音。

1977年、またもや目撃の報告。
巨体、七フィート、狼の顔を持ちながら、直立して睨みつける。
青白い眼が、暗闇を裂く。

そして、1987年。
十年ごとに必ず現れるその怪物は、再び森の奥からやって来る。

10年ごとに怪物が目撃されてきた怪物、最後に現れるのは今年という、単純で陳腐な内容だ。

曲をかけた直後、案の定、リスナーの反応は薄く、おそらくラジオ局内に「やっちまった」的なムードになっただろう。しかし、事態は予想外の方向へと動き出した。

やってきた、ミシガン・ドッグマン

放送から1時間ほどたった頃、局に一本の電話がかかってきた。
それは「曲に出てきた怪物を、自分も実際に見たことがある」という内容だった。

語られたのは1930年代後半、夜の森で釣りをしていた男性の体験談だった。
森の奥から現れた犬の群れ。そのうち一体が二本足で立ち、じっと彼を睨みつけていたというのだ。
クックは背筋が凍る思いをしたが、それだけでは終わらなかった。
局には次々と電話や手紙が届き、その多くが「犬のような人影を見た」「正体の分からぬ遠吠えを聞いた」という体験談の数々であった。

あくまでもこの歌は「エイプリルフールのジョーク」であり、クックも当初は「地元リスナーが冗談に合わせて盛り上がっているだけだろう」と懐疑的に考えていた。しかし、次々と寄せられる膨大な数の証言は詳細で具体的、語り手たちが真剣そのものなのだ。

伝説になる?

その後も「ミシガン・ドッグマン」は人々の語り草となり、地元新聞の記事などにも登場するようになった。
やがてインターネット時代に入ると、怪物を写したとされる写真や映像、録音された咆哮の音声が出回り、さらに現実味を帯びて拡散した。
ついには地元の人々にとって、“ミシガンに棲む怪物”として受け入れられ、事実として昇華したのだ。

一方で、クック自身も乗りに乗って、1997年・2007年・2017年と『The Legend』をリメイクし25周年記念のCDまでも制作したのだ。YouTubeで気軽に聴くこともできるので、気になった方は聞いてみるとよいだろう。

なぜなぜ、ミシガン・ドッグマン

なぜ、エイプリルフールのたわいもないラジオのジョークから始まった「ミシガン・ドッグマン」が、これほどの広がりを見せたのか。その理由を整理してみよう。

ジョークとして始まったラジオ放送は、リスナーの既存の体験や記憶と結びつくことで、証言という形で実体化した。ミシガン州の土地の半分以上が森林で占められていることもあり、地元の人々は森の中で何かしらの怖ろしい経験したことがあるだろう。その記憶や恐怖が呼び覚まされ、放送直後から寄せられた証言の多くが互いに似通っていたことが、冗談を「現実に存在するかもしれないもの」として受け止めさせる要因となった。

歌の構成が「1887年から十年ごとに出没する」という年代記形式をとっていたことも大きな要因である。
このような「周期的に現れる怪異」は現実感を帯びやすく、人々の記憶に強く定着する。この構造が後の語りや新たな体験談を正当化する枠組みとして機能した。

そこに地域社会とメディアの関与。地元新聞やニュースがこの話題を取り上げたことで、個人の体験は「公的に共有される伝説」へと位置づけられた。さらにインターネット時代に入ると、映像や音声といった真偽不明の資料が拡散され、伝説は一層強固なものとなっていったのだ。

「典型的な後付け型の都市伝説」と位置付ではあるが、地元の人々が生み出し、恐怖の存在として育ててしまい、今なお森に潜む怪物であり続けている。

そして2027年。
次の「10年周期」がやって来るとき、人々は再びミシガンの森に耳を澄ませ、恐怖に慄くことになる。

※画像はイメージです。

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