鮭皮靴

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数年前に訪れた旅行先の北海道の民宿で、アイヌにまつわる怖い昔話を聞きました。

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鮭皮靴

昔、とても仲が良い兄妹が助け合いながら暮らしていました。
ある日、兄が狩りに出かけて妹が一人で家にいる時に美しい女性が訪ねてきたのです。
女性は名乗りませんでしたが、手元にはボロボロになった鮭皮靴が握られていて、妹に向かってこういいました。

「私はかつて、あなたのお兄さんが大切にしてくれた鮭皮靴です。この世界を離れる前に、一度でいいから人の姿になってあなたのお兄さんの手を握り、お礼が言いたいのです。あなたの身体を貸して頂けませんか?」

妹は、女性を憐れに思い、一度だけ身体を交換してやることにしました。
けれども、身体を交換した途端、妹の魂は鮭皮靴の中に閉じ込められてしまったのです。
魂を封じられた妹の目の前には、自分の姿を借りて冷たく笑う女性が立っていました。

「これで愛するあの人と一緒にいられるわ。あなたは永遠に、私の代わりにそこへいるのよ」

兄を奪い取ろうとする女性に騙された妹は、なんとかして身体を取り戻そうと考えますが、どうすることもできません。

そうしているうちに、狩りから兄が戻ってきました。
妹の身体を奪い取った女性は、まるで見せつけるかのように兄へしなだれかかり、手を握って恋人のように振る舞い始めました。

しかし、妹思いの兄は、すぐに様子がおかしいことに気づいたのです。
これは妹に化けた何かだと直感し、女性が宿っている妹の身体を松明で炙り始めました。

「妹の身体から出ていけ!さもなくば燃やし尽くすぞ!」

炎で炙られる苦しみに耐えられなかった女性は妹の身体から抜け出し、自分が宿っていた鮭皮靴に戻りました。
それと同時に、妹の魂は、元の自分の身体へ戻ることができたのです。

兄は妹の身体を抱きしめ無事を確認したあと、もう二度と妹に手を出せないように、鮭皮靴を燃やしてしまいました。
それから兄妹は、ずっと仲良く暮らしたそうです。

民宿の反応

この話を聞いた時は「アイヌ文化にも怖い話ってあるんだなあ」と、ワクワクしていました。

次の日の朝、民宿を出ようとすると、玄関に置かれた古くボロボロな鮭皮靴が置いてあるのです。
ふと見送って下さった綺麗な女将さんのみると、冷たい笑みを浮かべながら、こう言ったのです。

「女の情念ってね、ずっとずっと深くて怖いものなのよ。何百年経ってもね」

女将さんが私をからかうために言ったのか。それとも、あの女将さんはもしかしたら?
そんなバカなと思っているのですが、私はあの冷たい笑みが忘れらません。

気になってアイヌの民話を調べても、似たような話は見つかりません。
どういう事なのか聞いてみようと思っても、泊まった民宿も見つからないのです。

※画像はイメージです。

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