昭和50年前後の話であります。
我がお寺の役員を長く勤めてくださったと、ある社長さんがいらっしゃいました。
当時の社長さんですから、お召し物はいつもスーツに革靴とフォーマルな格好。
祖父も高校の先生でしたので革靴が好き、社長さんと靴な話をするような間柄で、家族も革靴イメージがついておりました。
お酒も好きで豪快な方で、さすが社長というイメージでした。
しかし、さすがに年齢と酒の飲み過ぎで健康を害して役員を退任され、その後はお子さんが跡を継ぎ、しばらく姿を見なくなったのです。
革靴の音がする
ある秋の日の夕方、住職である祖父が祖母に「外から靴音がして誰か本堂に来た気がするから見てきてくれ」と言いました。
祖母は言われた通り見に行きましたが誰もいません。
祖父に聞いたら「いや、本堂を出て墓地の方(本堂の裏)へ行った様な靴音がした、革靴っぽいな」というのです。
そこで今度は祖父が自分で見に行きました。
ひと通り眺めてみたものの、誰もいなかったので祖父が戻ってきたその時、家の電話が鳴りました。
おや?と祖父は思ったそうです。
その電話は、しばらくお越しにならなくなった、社長さんが亡くなったという知らせの電話でした。
祖父が言うには
その電話を切ったあと、祖父は祖母にこう言いました。
「○○さんはいつも来る時革靴だったよな、言われてみたらさっきの本堂や墓地へ行った靴音、あれ○○さんの足音っぽかった。」
「しばらくお越しになれなかったけど最後にきちんとお参りに来られ、墓の中の親兄弟ご先祖に挨拶にしにきたんじゃないかね」
「さすが〇〇さんはしっかりした方だね」と。
ご挨拶に
その後通夜葬儀と終え、御斎の際、喪主さん達にそのお話をしたところ、あちこちの親戚が「私も聞きました、その一時間後くらいに亡くなった電話きました」という方が大勢のおられたのです。
晩年は動けなくなってしまった活発な社長さん、ご縁ある方に最期のご挨拶をしに、いつものスーツ革靴で周っていらっしゃったんだろうと思います。
※画像はイメージです。


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