稀代の天才錬金術士と言われ、「ヨーロッパ史上最大の謎の人物」と語り継がれる、サン・ジェルマン伯爵。
彼はいったどんな人物だったのかを解説していこう。
サン・ジェルマン伯爵
彼はフランス王ルイ十五世の宮廷に出没し、巧みな話術と豊富な知識で王侯貴族の信頼を得ていった。
二千年生きているとも、四千年生きているとも称していた。キリストが水をワインに変える瞬間を目撃したとも、旧約聖書に登場するシバの女王と歓談したとも豪語していた。
彼の至妙な話しぶりは、こうした話を聞く者に自ずと信じさせてしまったという。
伯爵は語学、化学、錬金術、芸術等にも精通し、ルイ十五世の持っていたダイヤの微細な傷を消して狂喜させた。
語学に関しては、ヨーロッパ各国語に加えてサンスクリット語、アラビア語、中国語をも操る。芸術について言うとクラヴサン(チェンバロ)やピアノを弾きこなして音楽家のラモーを感嘆せしめ、絵画に関しても一流のものを描いたという。
彼の作品に表れる色は独特の光彩を放ち、ラトゥールやヴァン・ローといった画家たちがその秘密を教えてくれるよう乞い願ったが、彼はそれを断った。
一説には、真珠を砕いた粉を絵の具に混ぜ入れていたそうな。
オカルト面での能力
錬金術においても優れた腕前を有していたとの記録がある。有名な好色家のカサノヴァが彼の邸宅を訪れた際、銀貨に薬品を振りかけて熱し、金貨に変えたという。ただカサノヴァは伯爵の錬金術に疑念を呈したため、帰ってくれといわれる羽目になった。
伯爵は、遠く離れた地に自分を必要とする人がいると、テレパシーのようなものでそれを察知することができたという。それを用いてヨーロッパ各国へ出現したとの記録がある。彼はルイ十五世のもとで外交官のような役割を担っていた。ピョートル一世が在位中のロシアにも現れたし、ペルシャのアフシャール朝の宮殿にも現れた。
ヴェルサイユ宮殿内でバイオリンを弾いていたかと思えば、ベルリンのフリードリヒ二世の書斎に姿を見せた。テレポーテーションと表現しても過言ではない神出鬼没ぶりである。
こうした数々の逸話から、サン・ジェルマン伯爵は「ヨーロッパ史上最大の謎の人物」という称号を得るに至った。
彼の能力の秘密
消えたり出たりが自在の彼は、プロシアやオランダ、ロシアにも現れ、ルイ十五世ばかりでなくプロシアのフリードリヒ大王とも親しく接していたといわれる。
プロシアには薔薇十字団という秘密結社の本拠地があり、フリードリヒ大王もこの結社に好意的であった。そしてサン・ジェルマン伯爵は、この薔薇十字団の一員であったことが確実視されている。どうやら伯爵は、薔薇十字団の理想達成のため、各国の宮廷に取り入っていたようである。
薔薇十字団とは17世紀初頭に出現した秘密結社で、キリスト教神秘主義のもとに教皇の権威を批判し、全ヨーロッパの思想的統一を目的としていた。
薔薇十字団の一員として暗躍していた彼は、おそらく組織の全面的なバックアップを受けていたのだろう。話術に長け、人たらしの才がある彼は、組織のエージェントとしての役割を担っていたものと思われる。
テレポーテーションの如く各地へ出没したというのも、もしかしたら代役を用いていたのかもしれない。彼にまつわる様々な伝説も、薔薇十字団が誇張し流布していたとも考えられる。彼らは自分たちの神秘性を強調するべく、伯爵にスポークスマンのような役割を与えたのだと思う。
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