「消えた男の子」のうわさ

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「緑と赤の表紙の『学校の怪談』」と聞けば、ハタと膝を打つ読者も多かろう。
筆者にとっても、小学生の時に手に取った数々の児童向けホラー小説シリーズの中で、一番思い入れ深いのがそれである。
その「学校の怪談」第一巻から、筆者に特別な恐怖感を植え付けたエピソードを紹介する。

目次

足元にある伝承を集めていった著者、常光

「学校の怪談」シリーズの著者は民俗学者の常光徹だ。彼は大学卒業後に中学教師となったのだが、多忙のため各地の民話や伝説を採録しに行くことができなくなってしまった。
そんな時に、知己である松谷みよ子から「あなたの足元の伝承を見つめてみたら」とアドバイスを受け、生徒たちから様々な怪談を聞き集めるようになったのだという。

講談社KK文庫から90年代に出た、おなじみの「学校の怪談」シリーズも、常光のそうした研究の成果である。

図工室で少年に起こったことは

さて、同シリーズの第一巻に収められた話の中で、筆者がとりわけ背筋の凍る思いがしたのが「消えた男の子」というものだ。あらすじは次のとおり。

東京某所の小学校で、A君とB君という二人の男の子が、放課後の教室に残って図工の作業をしていた。すると教室がもやのかかったように白くなり、何やら青いものが図工室へすーっと入っていくではないか。気味が悪くなったA君は「もう帰ろう」とB君を促すのだが、B君はそれを振り切り図工室へ入ってしまった。

やむなくA君は一人で下校したのだが、翌日B君は学校に来なかった。そして、図工の時間。図工係のA君は授業の前に図工準備室へと入ったのだが、ずらりと並んだ彫像の中に、なんとBくんそっくりのものがあるではないか。「B君。」驚愕したA君が声をかけると、彫像の顔は苦しげに歪み、目から青い涙を垂らした。

それ以来、B君は行方知れずだという。
夜になると図工室から「帰りたいよォ。」とすすり泣く声が聞こえてくるようになったそうだ。

姿を変えられたことによる恐怖

筆者がこのエピソードに恐怖を覚えた理由は、被害者の少年が単に姿を変えられたという事よりも、それにより様々な災いが発生することにある。まず、B君は彫像に変えられたことにより、移動の自由を奪われた。これにより自力で帰宅することは不可能になってしまったし、夜に「帰りたいよォ」とうめく以外は言葉を発することもできなくなってしまった。

さらにB君は、他者に助けを求めることもできない。A君に発見された際は、苦悶の表情を浮かべて涙を流すことにより、自分こそがB君であるという意思表示をすることができた。が、彼にできるのはせいぜいそこまでである。A君が周囲の人物に「あの彫像はB君なんだ」と訴えたところで、まともに取り合ってもらえないだろう。

それに万々が一、多くの人物が彫像の正体に気づいたところで、どうやって彼を元の姿に戻すというのか?こんなことがもし自分に起こったらと思うと、身の毛がよだつ思いがする。

そもそも、B君の姿を変えたのはいったい何者なのだろうか。図工室に住み着いていた悪霊か、妖怪か。何の理由があってB君にこんな仕打ちをしたのか。学校で不慮の死を遂げた児童の霊が、生者として自由に行動できるB君を妬んだのか。
その謎が明かされないところも、この話にいっそうの恐怖を加味しているのだ。

学校の怪談 (C) 常光 徹 講談社 講談社KK文庫
※画像はイメージです。

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