賢明たる読者諸君なら、イージス艦をご存知のことだろう。
残念ながら筆者はなんにも知らないが、おそらくきっと多分確実に強い軍艦に違いない。
だって名前が最強なんだもの!
イージス──この名称はギリシャ神話より女神アテナの防具「アイギス」に由来する。
盾として描かれることが多いが、鎧、胸当てとしても描かれる。最高神ゼウスすら貫けぬ不壊の防具。もっと簡単に言うと最強防具。そう最強防具。素晴らしい響きだ。
この最強防具「アイギス」の名を掲げたイージス艦が弱い訳無いのだ。
おそらくきっと多分確実に。
そんな最強防具「アイギス」とともに描かれるのが「メデューサ」である。
メデューサとは
ゴルゴン三姉妹の末、メデューサを倒したのは英雄ペルセウスだ。女神アテナではない。
ペルセウスはアテナよりアイギスを借りて・・・正確にはアテナからアイギスと兜と靴を、ヘルメスから刀を借りる。
勿論、それぞれが特殊効果付きの装備で、メデューサ退治に繰り出す。
なんやかんやありながらメデューサ退治を無事終えたペルセウスは、アテナに装備一式を返却し、メデューサの首を献上する。受け取ったアテナはアイギスにメデューサの首を埋め込んだ。
何度読んでも凄まじい美的センスではある。
とにかく、こうして最強防具は石化効果付きの最強防具にランクアップしたという訳だ。
このメデューサに会える場所があるというのは、ご存知だろうか?
会いに行こう、メデューサに
という訳で行ってみた、トルコ共和国、目的地はバシリカ・シスタン、地下宮殿とも呼ばれる貯水池。
ダン・ブラウンの『インフェルノ』を十数年前に読んだ。
この物語を通じて、彼の地にメデューサの首が2体、巨大な柱の下に埋め込まれていると知った。
それぞれが逆さま・横向きになって。

バシリカ・シスタンにて使用される合計336本の柱は、他の遺跡から集められたものだ、他の遺跡から。
トルコではよくあることなのだ。世界七不思議が一つ、エフェソスのアルテミス神殿だってそう。
遺跡は解体され、リサイクルされる。
この2体のメデューサも同じく、他の遺跡から運ばれてきた。だが、古代の人々は怪物たるメデューサを恐れ、わざわざ柱の一番下に、逆さまや横向きに埋め込んだ。
・・・というのが私の知る情報だったのだが。
ウッキウキで現地ガイドに尋ねたところ、そういった宗教的意味合いは無いようだった。
あくまで長さを調整するための配置だったんだって。
エエーッ!?なんだか一つ夢を壊された気分で、目的も忘れて帰国してしまったが、メデューサの首を沢山見られたのでヨシとしよう。

トルコではバシリカ・シスタンの他にも、遺跡の門にはメデューサの首が彫られていることが多かった。
きっと、彼女の持つ石化の力にあやかろうとしたのだろう。
ところで、イージス艦にもメデューサの首が嵌め込まれているのだろうか?
最後に余談、グスタフ・クリムト『パラス・アテナ』
アイギスとメデューサを描いた絵画として印象深いのがグスタフ・クリムト『パラス・アテナ』だ。
ご覧ください画面中央に描かれたメデューサの醜悪な顔を。

メデューサは、東洋の女性をモデルに創られたのではないかとも言われている。彫りの深い顔を持つ西洋人の彼らからすれば、ぺっちゃんこの顔は恐ろしかったのだろうか?
とは言え私たち東洋人も、西洋人を見て鬼や何やらを生み出しているので責めはできない。
メデューサを象った絵画や彫刻を見るたび微妙な気持ちになる。
読者の皆様にも、是非この微妙な気持ちを味わってほしいものだ。


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