あの夜は、冷たい雨が降っていた。
私は友人と二人で夜のドライブへ出かけ、愛車のシフトノブに左手を乗せ、慎重に車を走らせる。
気配
私は、自慢ではないが霊感があるほうだ。
世間では「幽霊なんていない」と言う人もいるが、見えてしまう人間にとって、それは否定しようのない現実である。私はこれまで幾度となく金縛りに遭い、時には、いわゆるお化けなんていう存在に遭遇したこともあった。
はっきりいって、あまり気持ちのいいものではない。
私たちが走っていた道の近くには、いわゆる心霊スポットと呼ばれる場所があった。
雨の夜、ただでさえ不気味な道なのに、そこを通ることが余計に気持ちを悪くさせた。
よく肝試しで心霊スポットへ行く人達がいるが、私としては「ありえない」発想。
心霊スポットが近づくにつれて、吐き気がするほど嫌気を感じ、だんだんと呼吸が荒くなっていく。
私は夜の闇の中でもはっきりと分かるほど青白い顔をしていたようで、「大丈夫? どこかで一回休んだら?」と友人が優しい言葉を話しかけてくれた。
「いや、一気に走り抜けたい。」
「そう・・・気を付けるんだよ?」
・・・友人としては心配で仕方なかったのだろう。
異変
その直後、左手が動かなくなった。
麻痺したようにまったく感覚がなくなり、それどころか何かに引っ張られるような感覚もあった。
動かそうとしても、まるで見えない力に抑え込まれているように、左手だけがビクともしない。
私は咄嗟にクラッチを踏み込み、アクセルから足を離して道の端に車を停めた。
「ごめん・・・ニュートラルにしてくれる?」
友人にそう頼んだ。その後の記憶はない。
真相
気が付くと自宅近くのコンビニの駐車場に車は停められ、隣で友人が寝ていた。
私が起きたことに気付くと彼も目を覚まし、「今までのことだけど、話していいか?」とゆっくり話初めた。
私が車を停めた後、友人は私の手をどけてシフトノブをニュートラルにしようとした瞬間、手を振り払われてしまった。そして、車が勝手に動き出した。
だれも運転していないのに、異常なスピードで車は暴走する。
私を起こそうとして、揺すったり叩いたりしてもびくともしない。
その時——友人は見た。ルームミラーに映る私の姿が、人間ではなかった。
友人はもうダメだと思い、恐ろしさのあまりに気を失い、今に至ったそうだ。
終幕
これが私と友人が体験した不思議な恐怖体験である。
その後、何事もなく車は走ったのだが、友人は気持ち悪がってタクシーを呼んだ・・・当然である。
車の異常もなく、どこにも傷はない、ディーラーへ点検に出しても異常は見つからない。
あの心霊スポットと私が原因なのだ。
それからというもの友人たちの間に噂がひろまり、私の車や運転で何処かへ出かける事はなくなった。
※画像はイメージです。


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